杉板抜け節補修材のホルムアルデヒド放散濃度試験
徳島県立農林水産総合技術センター 森林林業研究所
西徳木材株式会社

1.試験の目的
 建築基準法の改正により、平成15年7月にはシックハウス対策として居室内のホルムアルデヒドの放散について規制が強化されることになっている。西徳木材株式会社では、住宅用内装材として自然の無垢杉板を用いているが、抜け節のある商品については、木粉による補修を行っている。そこで、補修した製品について接着材からのホルムアルデヒドの放散がないか、試験を行った。
 

2.試験の方法
 試験に供する杉板は西徳木材(株)の内装用スギ羽目板である。節補修用に使用した接着剤は日本エヌエスシー(株)のインスタントロックであり、製品安全シートからホルムアルデヒドは含まないことを確認している。


    写真 簡易HCHO放散量試験

この内装用スギ羽目板について、厚さ 12mm、幅450 × 450 の試験体を2体作成した。一つは補修したもの、もう一つは補修無しのものである。写真のように、試験体表面にホルムアルデヒド簡易補修装置をセットし、恒温恒湿槽(タバイ製温度 23℃、相対湿度 45%)に24時間試験体を放置した後、デシケーター内に活性炭を通過させた清浄空気を流通させ、3.2g空気を捕集し、ホルムアルデヒド測定器(島津製作所製シルセット)と付属の分光光度計を用いホルムアルデヒド放散濃度を定量した。
 

3.結果と考察
 各材料からのホルムアルデヒド放散量は表−1のとおりである。測定値をみると節補修ありの試験体が 0.01ppm、補修無しの試験体が 0.03ppm という結果であった。厚生労働省が公表しているホルムアルデヒドの室内濃度指針は 0.08ppm であり、2体の試験結果は基準値以下となった。ちなみに今回の試験は、材料表面からの空気捕集であり、厚生労働省が定めた室内濃度そのものではなく、実際はこれ以上に低い値になるものである。
 試験の結果、節補修ありの試験体が補修なしの試験体の値を下回っていることから、補修用接着剤からのホルムアルデヒドの放散は見られないと判断される。なお、2体とも少量ながら放散が見られるのは、杉板自身に天然に含まれるホルムアルデヒドが放散したものであると推察され、こうした天然由来成分の放散は人の健康を損なうものではないと考えられている。
 

表−1 材料表面からのホルムアルデヒド放散量の測定(2003.2.19-20)
番号 材料 SILSET
測定値
測定条件
放散時間 温度 相対湿度
スギ板(節補修無し) 0.029 24時間 23℃ 45%
スギ板(節補修あり) 0.014 24時間 23℃ 45%
住宅における地域材新規需要開拓促進事業(実施主体:徳島県木材協同組合連合会)